【2019年】DAW作業に使うパソコン選びについて。Win/Macのメリット・デメリットをまとめてみる【DTM】

この記事ではWindowsとMacを比較していくが、Windowsの場合、

  • 自作パソコン
  • BTOパソコン(=準自作パソコン)

のどちらかにするのがオススメ。なぜならメーカー製パソコンだと、次のようなデメリットが出てくるからだ。

  • 自作/BTOと比べて値段が高い。
  • 余計なソフトが入っていたりする(値段が高くなる原因)
  • 自分で修理できない(好き勝手にパーツを交換できない)

Windowsを選ぶ二大メリットである「コストパフォーマンス」と「メンテナンス性」を両方捨てることになるので、メーカー製パソコンを選ぶメリットはほとんど無い。

  • この記事では、Windowsに関しては自作やBTOを前提に話を進めていきます。

Windowsのほうが優れているポイント

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高性能なマシンを安く用意できる

同じくらいの性能のコンピューターを用意する場合、Windowsを選べばMacよりも安く済む。

長年「ミドルレンジの自作PC」で音楽制作をやってきた僕の感覚では、「4万円前後のCPU+メモリ32GB」の環境があれば、たいていの音楽制作では困らないと感じる。この場合、全パーツ合わせても15万円程度で済む。ケースやOS(Win 10 Pro等)を前のPCから引き継げば、10万円ちょっとで済むことだってある。

Macだとこうはいかない。AppleのサイトでMac miniをカスタマイズしてみると分かるが、同等のスペックを満たすマシンを手に入れようとすると、20万円は軽く超えてしまう。

また、自作やBTOであれば、必要なパーツだけにお金をつぎ込めるのも良い。DAW用途で重要なのは、以下3パーツだ。

  • CPU
  • メモリ
  • ストレージ(SSDかどうか)

DAW用途なら高価なビデオカードも必要ない。

※僕もWin環境ではビデオカードを載せずに、オンボードで使っている。

Macだと、性能の高いマシンには良いビデオカードが搭載されていたりするので、音楽用途だとコスト的に無駄が発生してしまうのだ。

自分で修理できる

パソコンは精密機械なので、どのパーツも突然壊れてしまうことはある。

ストレージ(HDDやSSD)程度であれば、Macやメーカー製Windowsパソコンであっても、自分で交換できるだろう。しかし、電源やマザーボードが壊れた場合、基本的には自分で交換するのは難しい。

自作/BTOパソコンなら、故障したパーツを特定することさえできれば、自分でパーツを交換すれば修理可能だ。パーツ代以外、特に修理費用は発生しない。「自分で修理できる」というのは、自作PCの大きなメリットだといえる。

VSTプラグインの寿命が長い

2018年5月頃、XLN Audio社から次のようなメールが送られてきた。

「申し訳ないけど、Macの最新OSでは初代Addictive Drumsが動かないみたい……救済のためにアップグレード半額クーポンを送るよ」

このように、Mac環境だとOSのアップデートに伴い、古いプラグインが動かなくなることはよくある。

もちろんWindows環境でも起こり得ることだが、OSの性質上、Windows環境のほうがプラグインの寿命は長いことが多い。実際、僕もWin環境では未だに初代Addictive Drumsを使っているが、問題なく動いている(2019年9月現在)。

Macは古いプラグインを切り捨てることで動作の安定性を実現しているので、「古いソフトウェアの寿命の長さ」と「動作の安定性」は、トレードオフの関係にあるともいえる。

ハードウェアの寿命が長い

2000年代後半~2010年代前半ころまでは、プロの音楽クリエイターの間では、FireWireのオーディオインターフェイスが主流だった。だけど、今やMacにはFirewire端子は搭載されていない。Thunderboltに取って代わられてしまったからだ。

音楽関係のハードウェア製品は高価なものが多いので、できれば長く使いたいところ。こういったMac特有の規格変更に翻弄されるというのは、精神衛生上よくない。

Thunderbolt端子くらいなら、3千円程度の変換プラグを使ってFireWireに変換したりもできるので、まだいい。だけど、UADのPCIeカードを使っていた人はどうだろう。Mac ProからPCI Expressスロットが消えてしまい、無駄に高い拡張シャーシを買うハメになった……そんなもいるのではないだろうか。

Windowsの自作パソコンを使えば、規格の廃止に振り回されることもない。PCIeスロットはどんなマザーボードにもついているので、FireWireでもThunderboltでも、好きなカードを拡張すれば問題なく使えるようになる。UADのPCIeカードだって、専用シャーシを導入したりせずに問題なく使える。

好きなキーボードを使える

Macだと、使用可能なサードパーティ製のキーボードが少ない。

※僕のイチオシのFILCO Majestouch2も、Mac版は発売されていない。

キーボードにこだわりたい人にとっては、少し選択肢が狭くなってしまう。とはいえ、東プレ RealforceなどはMac用製品も展開していたりするし、純正キーボードしか使えないというわけでもないが。

Macのほうが優れているポイント

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操作が直感的

Macなら、小難しいことを考えなくても、やりたい作業をこなせる。

文字が綺麗

Macのほうがフォントは断然きれい。Windowsには搭載されていないフォントも多い。

OSの設計が優れている

Windowsだと、普通に使っているだけでもファイルの断片化が発生し、レジストリの汚れが溜まってくるので、パソコンの動作が遅くなってくる。MacはOSの設計が優秀なので、そんな心配もいらない。パソコンのスペックが同じなら、WindowsよりもMacのほうがサクサクと快適に動作する傾向がある。

マシンの安定動作が期待できる

Windowsの自作パソコンの世界では、様々なメーカーがPCパーツを販売している。それらを組み合わせて1台のパソコンを組み上げるので、パーツの組み合わせ(=マシンの構成)が何百~何千通りも存在することになる。

かたや、MacはAppleが選んだパーツだけを使ってパソコンが作られている。そのため、実際に販売されているMac以外、ラインナップは存在しないことになる。

この違いは、パソコンの安定動作に大きく影響してくる。自作パソコンの世界では、相性の悪いパーツが1つでも紛れ込んでいると、パソコンが安定して動かなくなることはよくある。Windowsの自作パソコンは昔より相性問題は格段に減ったももの、パーツの組み合わせパターンがケタ違いに多い。統計的に考えれば、Macよりもトラブルが起きやすいのは明らかだ。

パソコン-ハードウェア間の相性問題が起きにくい

音楽制作においては、

  • パソコンとオーディオインターフェイスの相性
  • パソコンとiLokの相性

このような、「パソコン-ハードウェア間の相性問題」が発生する可能性がある。

僕は昔、iLokドライバの相性問題で消耗したことがある。Sonnoxのプラグインがなぜか「Authorization Error」を吐いてしまい、使えないという状態だ。そのときはサポートとやり取りして解決したのだが、そのときにもらった言葉は印象に残っている。

特にWindowsのユーザーの人で、そういうトラブルが起きていることが多いみたいです

ソフトウェア/ハードウェアともに、音楽関係の製品はMacを基準に開発されていることが多い。だからMacのほうがWindows環境よりもトラブルが起きにくいはずだ。

対応しているオーディオインターフェイスが多い

Apogee、Metric Halo、Universal Audioなど、Mac専用オーディオインターフェイスを作っているメーカーも意外と多い。

※Windows環境ではハードウェアの多様性が増すので、前述の「相性問題」の解消や、バグフィックスに手間がかかるというのがその理由だろう。

オーディオインターフェイスの選択肢が多いというのは、録音作業においては大きなアドバンテージになる。Windowsだと、安定動作を考えるなら、実質的にRMEくらいしか選択肢がなかったりする。「どうしてもApogeeのAD/DAを使いたい!」みたいな人は、Macを使うしかない。

Logic Proが使える

「Logic Pro」というDAWソフトはMacでしか使えない。Appleの傘下に入っているからか、Cubase等他のDAWと比べて値段が安い。おまけにこのLogic Pro、付属音源や付属エフェクトも充実しているのでコストパフォーマンスが高い。

Macはマシンのコストが高くつきがちだが、Logicを使う前提なら、DAWの代金は安く済む。今からDTMを始める初心者の人なら、Windowsで自作するよりも、トータルのコストはかえって低く抑えられるかもしれない。

付属ソフトが優秀

Time MachineやiMovieといった、付属のソフトが充実しているのもMacの強みだ。Windowsだと市販のソフトを別途購入しないと、このクオリティのソフトは使えなかったりする。 

Win/Mac、どっちにすればいいの?

基本的に、パソコンが得意な人以外は、Macを選ぶのが良いと思う。そもそもDAWソフトは、WordとかExcelのような一般的なソフトと比べてトラブルが起こりやすい。それなら、せめてパソコン自体は安定して動いてくれたほうがいい。

Windows環境を完璧に安定させるには、パソコンの知識がそれなりに(自作PCが作れるくらいには)必要だ。Windowsを選ぶときは、このことを踏まえておく必要はあると思う。

※ただ、今は昔よりもネットの情報が充実しているので、地道に調べていけば問題解決もそう難しいことではないが。

Win/Macを選ぶ基準について、ポイントをまとめておく。

Windowsを使うべき人

  • パソコンに強い/問題解決が苦じゃない人
  • お金がない/節約したい人
  • 高性能なマシンにしたい人
  • 時間に余裕がある人

Macを使うべき人

  • パソコンに疎い/問題解決に労力をかけたくない人
  • 資金に余裕がある人
  • 最低限の性能があれば十分な人
  • 忙しい人
  • ノートパソコン(MacBook)を使いたい人

実際にパソコンを選んでみよう

Windows

自作

自作パソコンを組む場合の、オススメのパーツを挙げてみる。

パーツの種類 型番
CPU Intel Core i7 9700K(※要CPUクーラー)
マザーボード ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING
メモリ Corsair CMK32GX4M2A2666C16
SSD Crucial SSD 500GB MX500
ケース Fractal Design Define R5
電源 Corsair CX650M
ビデオカード (不要)

ここでは前述の「4万円程度のCPU、32GBメモリ」を前提に選んでみた。もちろんこれは参考までに。ご自身の必要なスペックに合わせて、適宜パーツをカスタマイズしてみてほしい。

※最新の重いオケ音源でフルオケ曲を作りまくるならもっとメモリは必要(64GB~)だし、「歌ってみた」の録音しかしないならCPUもメモリも低スペックで十分。

ただ、ケースはFractal DesignのDefineシリーズがとにかく組み立てやすいので、これは自信を持ってオススメできる(ケースは少し大きいけど)。

ちなみに、CPUに関してはAMD(Ryzen)のほうがコストパフォーマンスは高いのだが、僕は安定性を期待してIntelを選ぶようにしている。

各パーツを選ぶときは、価格.comを参考にするといい。パーツの売れ筋ランキングや価格が分かるので便利だ。CPUの性能は、PassmarkのCPU Benchmarksで確認するといい。

BTO

自作ができない人でも、BTOパソコンを購入すれば問題ない。自作よりも少しだけ値段は高くなるが、

  • 専門のスタッフが組み立ててくれる
    • 「パーツ同士の規格が合わない」等の初歩的なミスが起きない
    • 組み立てる手間を省略できる
  • 保証がある(お好みで延長保証も付けられる)

というメリットを考えれば、価格差も許容範囲。パーツのカスタマイズも柔軟にできるので、自作PCと何ら遜色ない。

BTOパソコンを買うときは、サイコムあたりで探すといいだろう。


Radiant GZ2800Z390

例としては、上記のPCをベースに、CPUやメモリを適宜変更しつつ、好みのスペックにカスタマイズしていくといい。

Mac

「何も持ってないけど、手っ取り早くDTMがしたい!」という初心者の方は、予算に応じてiMacなりMacBook Proを購入すればいい。Garage Bandが付いてくるのでひと通り初歩的なDTMは楽しめるし、Logic Proも安価に手に入るので、将来環境をグレードアップさせるのもスムーズだ。

「作編曲の仕事をこなせるレベルの本格的な性能」が欲しい場合は、Appleのサイトを訪問し、

  • iMac (iMac Pro)
  • Mac mini
  • MacBook Pro

のどれかを選ぼう。そして、メモリを16GBや32GBに上げて、できればCPUもCore i7のものに変更して購入しよう。個人的にはMac mini + 外部ディスプレイがオススメ(コスパが高いので)。

※ちなみに、Mac Proは多くの人にとってオーバースペックなので、この記事では割愛する。