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マウスの代わりにトラックボールを使うメリット

歌や楽器を録音するための「レコーディングスタジオ」という施設が存在する。そこで働くエンジニアのほとんどは、マウスではなく、トラックボールを使っている。

作曲家やアレンジャーなどのDAWソフトを使う音楽制作者も、コンピューター作業の際にトラックボールを使う人が多い。

僕も実際にマウスからトラックボールに乗り換えて5年ほど経つが、一度もマウスに戻ること無く、今まで快適に使用してきている。

なぜ一般的に普及しているマウスではなく、トラックボールが使われているのか。今回はトラックボールを使うメリットについて書いていく。

音楽関係の人のみならず、PC作業が多い人ならば、マウスからトラックボールに乗り換えることで享受できるメリットは少なくない。

1. マウスとトラックボールの違い

クリック操作についてはマウスもトラックボールも同じ。主な違いは、カーソルの移動のさせ方である。

カーソルを動かすときは、それぞれ次のような操作を行う。

  • マウス → マウスパッドの上を滑らせるように動かす
  • トラックボール → ボールを指で転がす

これがマウスとトラックボールの主な違いである。



2. トラックボールの利点

手首や腕の疲労度が少ない

トラックボールを使う最大のメリットはマウスに比べて疲労度が少ないことだろう。

マウス操作はカーソルを移動する際、少なくとも手首から先の部分を動かす必要がある。

トラックボールの場合はボールを指先で転がすだけでよいので、トラックボールの方が疲労度は少ない。

PC作業を長時間行う人にとって、フィジカル面の疲労を抑えることはとても重要なので、トラックボールを使うメリットは大きいといえるだろう。

省スペース

マウスを使う場合、最低限マウスパッドを置くスペースが必要になってくる。

トラックボールならば、本体がギリギリ収まる程度の狭いスペースでも問題なく使うことができる。

たとえば、音楽制作者ならMIDIキーボード上の空いたスペースに載せても問題なく使える(実際にこのように使っている人も多い)。机が狭くなりがちな音楽制作者にとってはメリットが大きいと思う。

カーソルの長距離移動が楽

長い距離をカーソル移動させることを考える。
マウスをマウスパッドの端まで動かしても目的の場所に届かない場合は、マウスを一度持ち上げ、マウスパッドの中央付近にマウスを下ろし、移動を再開する必要がある。

しかしトラックボールならボールを永久に転がすことができるので、こういった煩わしさから解放される。

音楽制作でDAWソフトを使う場合、波形のコピーペーストなどの際に長い距離をドラッグさせることも多いし、エクセルなどの表計算ソフトでは広範囲をドラッグして選択することもあるだろう。

広い範囲をカーソル移動させる場合、トラックボールは非常に便利だ。

コードのことを気にしなくて良い(ワイヤレスも不要)

マウスを動かすときに、コードが引っかかって煩わしい思いをしたことがある人もいるはず。ワイヤレスマウスならこれは解消されるが、今度は電池交換や充電のことを気にする必要が出てくる。

しかしトラックボールの場合、そもそもトラックボール本体は動かす必要がないため、コードの引っかかりを気にする必要もない。

ワイヤレスのトラックボールも存在するにせよ、有線と無線の間で使用感の差が小さいのがトラックボールの特徴だ。

3. トラックボールの弱点

デザイン、製図、イラスト制作などの細かい作業に向かない

ドット単位での微調整が求められるようなカーソル移動に関しては、僕の感覚ではマウスのほうがやりやすいと思う。もっとも、こういった細かい作業はペンタブレットを使うべきかもしれないが。

慣れるのに多少時間がかかる

個人差はあるだろうが、長年マウスに慣れ親しんだ体ではトラックボールに慣れるのに時間がかかる人もいるかもしれない。僕の場合、慣れるのに1ヶ月くらいかかった。



4. オススメのトラックボール

ロジクール Trackman Marble TM-150r

通称マーブルマウス。大手マウスメーカーロジクールのロングセラーモデルだ。僕もこれを愛用している。

人差し指(+中指)でボール操作、親指でクリック、薬指で右クリックするようになっている。小さなサブボタンも2つ付いていて、好きな操作にアサインできて便利。僕はPage UpとPage Downに割り当てている。

唯一の弱点はホイールがないこと。しかし、W10Wheelというフリーソフトを使えば、「右クリックでドラッグ」のような操作を、ホイール操作に割り当てることができる(操作方法はソフト側でエディット可能)。

これに慣れてしまえば、通常のマウスのホイールよりもかえって便利だと思う。ボールを転がすという動作がホイールの動きと連動するため、非常にスムーズで爽快なのだ。トラックボールを指先で思い切りぶん回せば、通常のホイールには出来ないような、超高速スクロールだって可能。

フリーソフトなのでうまく動作するか不安な人もいるかもしれないが、僕の使用環境(Windows10)では、99%きちんと動作する。

※動作しない残り1%は、ソフトをインストールする際のエクスプローラ画面程度。

ほとんど不自由なく使えていると言ってよい。

ロジクール製品はアフターサービスが良いのも魅力だ。この製品、昔のロットではチャタリングを起こすことが多かったのだが、保証期間内だったため、その度に無償で交換してもらうことができた。

ロジクール製品はドライバの出来が良いのも魅力。頻繁にアップデートが行われるし、
後述のケンジントン製品のように、ドライバ関連のトラブルも聞かない。

LOGICOOL TM-150r

ロジクール Wireless Trackball M570t

こちらもロジクールのトラックボール。
先ほどのマーブルマウスとの大きな違いは、親指でボールを操作するという点だ。

左クリックは人差し指、右クリックは中指で行うようになっていて、ホイールも付いている。マウスに慣れ親しんだ人でも違和感なく移行できるだろう。

こちらは有線ではなく、ワイヤレスのトラックボールとなっている。

LOGICOOL M570t

ケンジントン Expert Mouse

冒頭でも触れた、「レコーディングエンジニアが使うトラックボール」がこのモデルだ。

僕も実際に購入して試したが、当時の僕の環境(Windows 7)では、ボタンを押してから実際にクリックの判定がされるまでにわずかなタイムラグがあり、使用するのを止めてしまった。

※とはいえ、Windows 7で使っているユーザーは当然存在するだろうし、この問題もドライバのアップデートで改善されている可能性もある。あくまでも、個人の環境依存の問題と考えて欲しい。

しかし、多くのレコーディングスタジオで使用されていることを考えると、Mac環境では問題なく動作することが予想される。

このExpert Mouseには、左クリックと右クリックの他にもボタンが2個ついている。それぞれに操作を割り当てることができるのはもちろん、これらを同時に押した場合にも、一つの操作を割り当てることができる。また、左クリックと右クリックの同時押しにも操作割り当てが可能だ。ソフトウェア上で多くの操作を行う人には便利だろう。

リング状のホイールも付いているのでホイール操作も問題なく行える。また、ボールが大きくどっしりとしているため、安定した動きをさせることができ、細かい作業もやりやすい。

ケンジントン ExpertMouse

5. まとめ

トラックボールを使うメリットは多い。マウスほどではないにせよ、意外と多くの種類のトラックボール製品が存在するので、興味のある方は家電量販店等で実際に触れて、試してみて欲しい。