前回の記事では、アコースティックギターの録音にオススメのマイクを紹介した。
今回の記事では、そのうちのいくつかのマイクを、実際の録音で使ってみることにした。宅録レベルの録音ではあるが、マイクの傾向を知ってもらうことはできるはずだ。
目次
録音の条件
まずマイキングについて。
- 角度:ネックに対して45度くらい(方位角)の角度で、演奏者から見て左側から狙う
- マイクの高さ:ネックよりも少し上部の高さから狙う
- 狙う場所:指板の最終フレットあたり
- 距離:約30cm
エフェクトは、リバーブを少しだけ。EQとコンプは無し。
最後にリミッターを掛けてレベルを調整しているが、リミッターによるリダクションは無し。
つまり、基本的には録ったままの、素の音ということになる。
音源
音源をSoundcloudにアップした。
- 0:00~ → Neumann KM184
- 0:55~ → AKG C451B
- 1:52~ → AKG C214
- 2:48~ → Shure SM57
となっている。ストローク、続いてアルペジオと、1種類のマイクの録音中に連続で演奏している。
※演奏はマイクごとに別のテイクとなっているのでご了承ください
感想
所感を述べてみます。
1. NEUMANN KM184
最も高価なだけあって、やはり一番良い音で録音できている。ヌケの良さと太さ、両方を合わせ持っていて、アコギ単体で聴かせるには最も良い結果になると思う。
同じノイマンでも、TLM102だとローミッドがモコモコしていたけど、KM184ならEQも最小限に抑えられそうな印象がある。
2. AKG C451B
こちらもアコギ録音の超定番マイク。KM184よりもシャープで、かつ柔らかさも持ち合わせている。AKGらしい音色をしていると感じる。
KM184と比較すると、8kHz以上の超高域がより多く出ている印象。反面、500~1kHzあたりの中域は控えめ。中域が控えめでありながらも、音の芯がちゃんと残っているのが良い。
小編成のアンサンブルなら、KM184のほうが存在感があって良いと思う。だけど、例えばロック系アンサンブルの中でアコギをストロークでかき鳴らす場合、C451Bのほうが良いと思う。ドラム・ベース・エレキギターが鳴っている中、ちょうど良い存在感でアンサンブルに溶け込んでくれそう。
キャラの違いはあれど、クオリティ的にはKM184と優劣をつけがたい、良い音だといえる。
3. AKG C214
同じAKGでも、C214はラージダイアフラムのマイクだ。
アコギに関しての録り音は、個人的にはさほど好みではないというのが正直なところ。まずローミッドがモコモコしすぎている。ド頭のストローク「ジャーン!」の時点でけっこう気になる。ラージダイアフラムマイクの特性といえば特性ではあるが。
一方、700~1.5kHzくらいのミッド成分は薄くて、若干細く感じる。AKGらしいといえばAKGらしいし、アンサンブルに入れるには悪くないかもしれない。
歌と兼用するのであれば、C214という選択もありだけど、アコギ録音用に買うならC451Bを選んだほうがいいと思う。
4. Shure SM57
今回の比較テストの中で、唯一のダイナミックマイク。KM184やC451Bと比べると、やはりレンジが狭く、高級感のある出音ではない。
だけど、なかなかどうして、これはこれで良い音をしている。このハイミッドにピークがある感じは、アンサンブルの中では良い存在感になると思う。ノンEQでもミックスに馴染んでくれそうな録り音。
部屋のコンディションが録音に適していない場合は、こういうダイナミックマイクのほうがかえって使いやすいかもしれない。
まとめ
やはり前回の記事で述べたとおり、アコギの録音にはKM184やC451Bが良いかなと思った。ボーカル用のマイクと違って、アコギ用のマイクは安価にプロ仕様のものが入手できるのが嬉しい。