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【レビュー】bx_console SSL 4000 Eはミキシングの標準ツール!便利なEQです

Brainworx bx_console SSL 4000 Eは、Plugin Allianceから発売されているEQ(厳密にはチャンネルストリップ)のプラグイン・エフェクトだ。

多くの著名なエンジニアがこのプラグインを愛用しており、興味本位で購入したのだが、今では僕のミックスには無くてはならないツールとなってくれた。

SSLのEQの特色とは?

かつて、「録音はNeveで、ミックスはSSLで」というのが、プロの世界のレコーディングの標準的な流れだった。bx_console SSL 4000 Eを使うと、その意味がよく分かる。

例えばNeve 1073(プリアンプ)には3バンドのざっくりしたEQしか付いていないけど、SSL 4000 EだとEQの帯域を決めたり、Q幅を設定したりすることができる。

現在ではFabFilter Pro-Q 3のような「便利ツール系」のデジタルEQもあるが、SSLはその先駆けとなるような存在だったのではないだろうか。

【レビュー】FabFilter Pro-Q 3は最高のデジタルEQ。優れたミックスのための必須プラグインです

「じゃあPro-Q 3を使えばいいじゃん!」と思うかもしれないが、SSLのEQは機能的な良さと音質的な良さ、両方を兼ね備えているのだ。これが皆がSSLを使う理由なのだと分かった。



bx_console SSL 4000 Eの良いところ

1. 最大15dBまでブースト/カットできる

たとえばPro-Q 3だと、標準だとプラマイ6dBのレンジに設定されている。それ以上のブースト/カットを行おうとすると、GUIが縮小表示モードに変化していくことが分かるだろう。

この仕様のため、6dBを超えるブースト/カット処理を行うことに抵抗があるPro-Q 3ユーザーも意外と多いのではないだろうか?「過度なEQのブースト/カットは良くない」とか巷ではよく聞くし……と。

bx_console SSL 4000 Eだと、そんなことを気にせずに、グイッ!とつまみを持ち上げることができる。最大で15dBまでブースト/カットが可能だ。この仕様は、実は良いミックスを行う上で、大きな助けとなってくれる。

少しずつカットするというのは、一見お利口なスタイルに見えるが、落とし穴もある。それは「大幅にEQをしなければ解決しない局面」を乗り越えられないことだ。というのも、実際プロのエンジニアは、問題があると思えば10dB以上のブースト/カットを当たり前のように行うからだ。

著名なエンジニアの教則ビデオを見ても、必要であれば、6~12dB程度の大きなブーストやカットを行っていることが分かる。

僕もメジャー作品のミックスチェックで商業スタジオに赴いたとき、エンジニアさんがHighバンドを12dBもブーストしていて意外だったのをよく覚えています。

ミキシング中級者から上級者へと移行するためには、この「大胆なブースト/カット」を適切にできるようになるための“判断力”を持つ必要がある。

MEMO
ロックの名盤を多く手掛けてきたエンジニア「Chris Lord-Alge」のミックス作業を見てみると、これでもか!というくらいに高域を無慈悲にブーストしまくっていることが分かる(繊細なEQをしている人はカルチャーショックを受けるかも)。EQは必要なら、必要なだけ行うべきなのだ。

2. アナライザーが付いていない

bx_console SSL 4000 Eには、デジタルEQに付属しているようなアナライザーは付いていない。一見デメリットとも思えるようなこの仕様は、むしろ歓迎すべき仕様だといえる。目ではなく耳を頼りにしたEQ処理を行うことにつながるからだ。

前述の内容とも関連するが、耳を頼りにEQをすることは、不適切なEQを防ぐことにつながる。大胆にカットすべき局面でカット量が不足したり、逆に少ししかブーストしちゃダメなところで過度にブーストしてしまったりすることを避けられる。

3. GUIが洗練されている

bx_console SSL 4000 EのGUIは洗練されている。必要なツマミが、必要な大きさで、必要な位置に配置されている。実際に操作する上で、不満点はほとんどない。

これはもちろん元のSSLコンソールのデザインが優れていて、それを忠実にプラグインに移植した結果ではあると思う。

他のプラグインと比較すると、当プラグインののGUIの秀逸さを実感できる。例えば無料配布されていたこともある同社の「bx_console Focusrite SC」だと、あまり使わないツマミが大きかったり、逆によく使うツマミが小さかったりする。

このように他のチャンネルストリップ系プラグインでは、GUI設計がイマイチだなと思うこともよくある。それと比べて、bx_console SSL 4000 EのGUIは洗練されている。

4. 操作感も悪くない

bx_console SSL 4000 Eの操作性は、アナログコンソールを模したプラグインの中で考えれば、比較的優秀な方だ。

次のようなマウスショートカットも搭載されている。

  • Shift + ドラッグ:0.1dB単位で微調整する
  • Ctrl + クリック:つまみをデフォルト位置に戻す
    • 実質的にバイパスボタンとして使える。

Plugin Allianceの製品だと、たとえばLindell系のプラグインは、微調整がやりづらかったり、クリックしたポイントにフェーダーがいきなり動いてしまって使いづらかったりすることがある。

bx_console SSL 4000 Eの操作性は悪くない。数値入力ができればなお良かったと感じるが、そこは妥協できる範囲。

5. 音がクリアでシャープ

SSLのEQは、クリアで都会的な雰囲気をもたらしてくれる。感覚的な話になってしまうが、「シャキッ」とした音になってくれる。

往年の名盤では、プロのエンジニアがSSLでミックスした作品も多い。bx_console SSL 4000 Eを使っていると、その質感に少しだけ近づけたかなと思えてくる。

デジタルEQだけでイコライジングを行うと、次第に音が鈍っていくような感じがある。だけどbx_console SSL 4000 Eを中心に使っていけば、音像がハッキリしてくれる。

その他の特徴

TMTテクノロジーが搭載されている

他のPlugin Alliance製品同様、bx_console SSL 4000 Eには、TMTテクノロジーという技術が搭載されている。※「Tolerance Modeling Technology」の略だ。

TMTテクノロジーはひとことで言うと、「リアルミキサーのチャンネルごとの特性のバラつきを再現することで、平面的なミキシングに陥るのを解消する機能」だ。

Bertom EQ Curve Analyzer等で覗いてみると、全く同じ設定でEQを掛けているにも関わらず、チャンネルによって微妙にEQポイントがズレていることが分かる。

LchとRchでもズレが発生する。これがアナログ感=ミックスの自然さににつながる。また、ステレオ感の増大にもつながる。ステレオトラックの素材を処理する場合は、この左右のズレは良い結果につながりやすいと、個人的には感じている。

THDツマミで歪みも加えられる

小さいTHDツマミをひねると、素材に倍音が付加される。主に3・5次倍音が付加されることが分かる。※2次倍音も少し加わるが、控えめ。

ガッツのある音に仕上げたいときは、他のプラグインを起動することなく、このTHDツマミを回せば良い感じになる。便利だ。

Black/Brownモードを切り替え可能

bx_console SSL 4000 Eは、デフォルトだとBlack Modeになっている。ここで「EQ TYPE」のスイッチを押下させると、Brown Modeに切り替わる。LF(Low Frequency)のツマミの色が変わるので判別可能だ。

音の傾向に若干の違いがあるので、気に入った方を選ぶとよい。

※マニュアルには、「BlackはNo.1 ロックンロール・フィルターであり、Brownはよりスムーズな音」だと書かれている。

コンプやゲートも使える

bx_console SSL 4000 Eはチャンネルストリップなので、コンプやゲートも使うことができる。

※僕はコンプやゲートは他のプラグインを使うため、出番はほぼないけど。



まとめ

bx_console SSL 4000 Eは

  • 優れた操作性
  • 優れた機能性
  • アナログ感のある音質

これらを備えたSSLの素晴らしさを感じさせてくれるプラグインだ。Plugin Allianceの製品は定期的にセールが行われるので、機会があればこのbx_console SSL 4000 Eも一度試してみてほしい。