多くのカバー曲は、オリジナルには遠く及ばないと考えている。
そんな僕が、良いカバーだなと思ったものを8曲紹介する。原曲をリスペクトしていてたり、純粋にクオリティが高いと思われる作品を中心に選曲した。この中から1曲でも興味を持ってもらえれば幸いだ。
目次
1. Let It Go / Rascal Flatts & Lucy Hale
映画「アナと雪の女王」の主題歌、「Let It Go」のカバー。
ビルボードのヒット曲を思わせるような、爽やかなサウンド。4つ打ちのリズムとアコースティックギターのサウンドがポップで心地よい。
Good Time / Owl City & Carly Rae Jepsenを彷彿とさせるような、男女ボーカルの掛け合いも魅力的。
2. Friend Like Me / NE-YO
NE-YO - Friend Like Me - YouTube
映画「アラジン」の挿入歌、「Friend Like Me」のカバー。
ブラスをフィーチャーしたスウィング・ジャズ的なサウンドは、原曲へのリスペクトを感じさつつも、現代的なブラッシュアップが施されている印象だ。NE-YOのレイドバックしたグルーヴ感たっぷりのボーカルが味わえる。
以上の2曲は、いずれも同じCDに収録されている。David Fosterプロデュースの「We Love Disney」という、ディズニー音楽のカバーアルバムだ。どのカバー曲も丁寧に作り込まれていてクオリティが高い。オススメできる1枚。
3. Automatic / Dirty Loops
Automatic, a song by Dirty Loops on Spotify
オリジナルは宇多田ヒカルのヒット曲。
Dirty Loopsのサウンドは、Fusion風のコード感の上でEDM的なシンセが鳴っているのが特徴だ。ボーカルはソウルフルで、往年のR&Bシンガーを思わせる。
この「Automatic」では、リハーモナイズやリズム面のアレンジが大胆に施されている。思い切りの良いアレンジがバンドの勢いを感じさせる。
歌も演奏もとても上手いバンド。1stアルバムのLoopifiedはオススメだ。
4. NEO UNIVERSE / Orianthi
マイケル・ジャクソンのサポート活動でも有名なギタリスト、Orianthiによるカバー。オリジナルは日本の人気ロックバンド、L'Arc-en-Cielのヒット曲だ。
原曲へのリスペクトも感じさせつつ、オリアンティの色もきちんと出ていて、素晴らしいカバーに仕上がっている。
オリアンティはギタリストにも関わらずボーカルも上手く、キュートで良い声をしている。もちろんギタリストらしく、歌の合間には伸びやかなリードギターを聴くことができる。演奏だけにとどまらない多彩な才能には驚かされる。
ビルボードのヒット曲を思わせるような名カバーだ。
5. Burn / Mr. Big
オリジナルはDeep Purple。
注目すべきはソロパートだろう。リッチー・コッツェンによる、原曲を遥かに上回る超絶難易度のギターソロ。ヤングギターに掲載されたときも、当然ようにライオンマーク(難易度MAX)を叩き出した。
終盤にはビリー・シーンによるベースソロが聴けるが、こちらはなんと原曲のオルガンソロを忠実にコピーしたものになっている。タッピングを交えつつ、軽々と弾きこなしている。
MR. Bigらしい、実にテクニカルなカバーだ。
6. Basket Case / Avril Lavigne
Basket Case Avril Lavigne - YouTube
オリジナルは、90年代に一世を風靡したメロディック・パンクバンド、Green Dayのヒット曲だ。
Avrilのキュートかつパワフルなロックボーカルによく合っている。ライブでのみ演奏されていて、CDには未収録。貴重なカバーとなっている。
7. やさしさで溢れるように/Flower
Flower 『やさしさで溢れるように』 - YouTube
オリジナルはJUJUのヒット曲。
歌も上手く良い声をしていて、丁寧かつ、原曲をリスペクトした歌唱に好感が持てる。
原曲のアレンジは亀田誠治氏が手がけているが、こちらのカバーはCHOKKAKU氏によるアレンジとなっている。いずれも質の高い良アレンジだが、バックトラックも比較してみると、両アレンジャーの特徴が見えてきて面白い。
8. ROCKET DIVE / 布袋寅泰
最後はこちら。オリジナルは故人であるX JAPANのギタリスト、hide (with Spread Beaver)のヒット曲だ。
イントロのリフやギターソロは原曲に忠実で、hideへのリスペクトが感じられる。しかしながら、ギターのトーンを聴くだけで、一発でそれとわかるような布袋サウンドになっているのはさすが。
間奏やエンディグでは、布袋のストレートなメッセージが込められていて感動的。
余談だが、布袋寅泰は高音域がそれほど得意ではないため、普段歌うときはせいぜいGまでしか使わない。そんな彼が、この曲の転調後のサビでは、G#まで頑張って地声で出しているのが印象的だ。
天国のhideへ届けといわんばかりの、渾身のシャウト。まさに魂が込められた名カバーだといえるだろう。
一人の音楽家として、布袋寅泰のセンスの高さがうかがえる一曲だ。