「自分用にマニュアルを作ると、色々とはかどるなぁ」と感じたので記事にしてみます。
目次
自分用マニュアルって何?
「何かの作業手順をメモ書きしたファイル」のことを、「自分用マニュアル」と呼ぶことにする。例として、「カップ麺の作り方」の自分用マニュアルを載せてみる。
◆カップ麺の作り方
作成日:2019年12月17日
- お湯を沸かす。電気ケトルに水を350mlくらい入れてスイッチオン。
- お湯を沸かしている間に、次の3点を済ませておく。
- カップ麺のフタを半分くらいまで開ける。
- 中の「スープ」を取り出し、容器の外に置いておく。
- 中の「かやく」を取り出す。袋を開封して、中身を麺の上に散りばめておく。
- 沸かしたお湯を、カップの中の線まで注ぐ。シールでフタを閉めて、3分間待つ。※タイマーを使って時間を測る。
- 3分経ったらフタを空ける。「スープ」を注いで、箸でかき混ぜる。これで完成!
こんな具合だ。
もっとも、カップ麺を作る手順程度の内容なら、わざわざマニュアルにまとめるほどのことはないかもしれない。しかし、専門的な作業の中には、複雑な手順を踏む必要があるものも多い。そんなときには、この「自分用マニュアル」の存在が役に立ってくる。
自分用マニュアルを作る3つのメリット
1. 複雑な作業工程でも瞬時に思い出せる
僕はふだん音楽制作を行っている。音楽制作の作業は専門的な上に、作業内容が多岐に渡っているため、必要な情報も多くなってしまいがちだ。そんな背景があるため、自分用マニュアルを作る習慣がない頃は、とにかく色々なことを忘れてしまいがちだった。例えば、
- 久しぶりに起動したソフトシンセの使い方
- 「久しぶりに譜面を作ろう」と思って起動した、Finale(譜面ソフト)の使い方
- 歌を録音するときの、マイクプリアンプ(録音機材)のGain(ツマミ)の位置
といった情報を、よく忘れていた。
だけど、自分用マニュアルを作るようになってからは、情報を思い出せずに困ることはなくなった。それに、「忘れてもいい」と気楽に構えられるようになったので、その分クリエイティブな作業に集中できるようになった。
2. 効率的な作業が可能になる
自分用マニュアルを作成する過程で、必然的に「無駄なく最適化された作業工程」を書き記すことになる。自分用マニュアルを見ながら作業をすれば、作業完了までにかかる時間は短くて済む。
3. 自分自身の能力がアップする
自分用マニュアルを作るには、
- 分かりやすい文章を書く能力
- 作業工程を、構造的に把握する能力
これら2つの能力が必要だ。
そのため、自分用マニュアルを作る習慣がある人は、この2つの能力が自然と鍛えられていく。いずれも、一般的な社会生活を送る上では大きな武器となる能力。鍛えておくに越したことはないだろう。
ベストセラー作家も同じようなことを言っている
書籍『メモの魔力』
『メモの魔力』という、ベストセラーのビジネス書がある。「今売れているみたいだし、読んでみよう」という感じで、気楽な気持ちで読んでみた一冊だ。
ざっくりまとめると、この本には、「何事もメモをとるのが大事だ」という趣旨のことが書かれている。ちょうど自分の意見と一致するような内容が多く、それまでぼんやりとしていた自分の考えが確信に変わった。
「頭で覚えたほうがいいのでは?」という疑問についての反論
もちろん、頭や体で完全に覚えてしまったほうが良いこともある。例えば、
- 日常的に使う必要がある情報(例:専業主婦の人にとっての「炊飯器でお米を炊く方法」)
- アクセスする頻度が高い情報(例:パソコンを多用する人にとっての「PCキーボードのキー配置」)
- 必要時の緊急性が高い情報(例:「うっかり深爪してしまい、血が止まらないときの止血方法」)
などが挙げられるだろう。
しかしながら、人間が覚えられる量には限りがある。小学校の頃に学校で習ったことを、今でも全部覚えているだろうか?おそらく、全ては覚えてないはずだ。人間は忘れる生き物なので、忘れるのは普通のことなのだ。
とはいえ、現在は「超・情報化社会」と言っても過言ではない時代。「一人の人間が脳内で覚えられる情報」だけを頼りに生きていくのは、心許ない。世の中が大きく変わっていく中、できる限りの情報を携えながら、あらゆる局面において好機をつかめるようにしておきたい。
自分用マニュアルを使うことで、
- 脳が処理できる情報の総量が増える(思考のコストが減るので)
- 脳の記憶容量を拡張できる
といった効能が出てくる。自分用マニュアルは、その人の記憶力に関わらず、その人自身の性能を上げるための助けになってくれる。
自分用マニュアルを作る具体的な方法
使う道具
自分用マニュアルを作るための道具は、文字を書けるソフトなら、何でもいい。
- スマホのメモ帳アプリ
- パソコンのエディターソフト(メモ帳、ワードなど)
紙に書くという方法もあるかもしれないが、「検索できる」というデジタルの恩恵は大きい。やはりスマホやパソコンを使うのがオススメだ。
書き方のコツ4つ
1. 具体的な作業レベルで書き残す
できる限り、具体的な作業レベルで書き残すようにする。例えば、冒頭の「カップ麺の作り方」の自分用マニュアルでは、手順4のところで
「スープ」を注いで、箸でかき混ぜる。
と書いた。「箸でかき混ぜるなんて当たり前のことだろ……」と思うかもしれないが、カップ麺を普段食べない人には分からないことかもしれない。それなら書いたほうがいい。
慣れている人なら当たり前の作業であっても、初めて体験する人にとっては、手を動かさなければ分からないことも多い。
- 「見ればわかるでしょ……」
- 「適当にいじっていればわかるだろう……」
こういう妥協はなるべく捨てる。初めてマニュアルを見た人でも、すんなりと作業を進められるのが理想。
2. 箇条書きを上手く使う
自分用マニュアルは、「何らかの作業手順を説明する」ための情報だ。必然的に、箇条書きを上手く使うことで、文章は格段に読みやすくなる。
また、ブログを書く人にとってはおなじみの話だが、
- 番号付きリスト(1、2、3….…といった数字で文をまとめる)
- 番号なしリスト(・で文をまとめる)
を使い分けると見やすくなる。
3. 参考URLを書き残す
今の時代、ブログやWebサイトで情報を手に入れることも多いはず。自分用マニュアルを書き記す上で、参考にしたURLを書き残しておけば、その情報の信頼性はより強固なものになる。
4. 日付を書いておく
「いつ作成したファイルか?」を、自分用マニュアルの中に書き記しておくと良い。情報の鮮度を瞬時に判別できる。
※例えば、ファイルの冒頭に「作成日:2019年12月17日」とでも書いておけばいいだろう。
おすすめ書籍
最後に、分かりやすい自分用マニュアルを作る上で参考になる本をを2冊紹介する。
「どういった表現をすれば、分かりやすくなるか」について書かれている本。分かりやすい表現の根幹の部分について触れられている。「分かりやすい」シリーズの本はいくつかあるが、この本を先に読むのがオススメ。
僕はこの本を15年以上前に読んだのだが、とても分かりやすくためになる内容の本で、今でも記憶に残っている。未だに売れているのも納得の一冊。
口頭で説明する際のコツについて書かれている部分も多いが、「聞き手の理解を容易にするための情報の整理テクニック」などは、文章での記述にも応用できる内容だといえる。こちらも自信を持ってオススメできる一冊だ。