コンデンサーマイクは湿気に弱いので、湿度40%前後の空間で保管するのが望ましい。とはいえ、ここは日本。季節によって、空気が乾燥していることもあれば、ジメジメしていることもある。
四季を過ごす中で、コンデンサーマイクを適切に保管するためには、専用のケースを用意する必要があるのだ。
コンデンサーマイクを保管する方法は、以下の2通り。
- ドライボックス(密閉されたケース)で保管する
- デシケーター(電気駆動の防湿庫)で保管する
それぞれの特徴を見てみる。
目次
1. ドライボックスでの保管について
1-1. 保管方法
ドライボックスでコンデンサーマイクを保管する手順は、以下の通り。
- ドライボックスの中に、乾燥剤を入れる。
- ドライボックスの中に、湿度計を入れる。
- ドライボックスの中に、コンデンサーマイクを入れる。
きわめてアナログな方法で保管していくことになる。
1-2. メリット
導入コストが安い
ドライボックス・乾燥剤・湿度計すべて合わせても、総費用はデシケーターの半額以下。初期費用を抑えられるというのは、ドライボックス管理の魅力のひとつだ。
場所を取らない
ドライボックスなら、小さいものだと5.5リットル程度のサイズから販売されている。部屋に置いてもあまり場所を取らないのが良い。
1-3. デメリット
湿度の定期確認が必要
ドライボックス内部の湿度がちゃんと40%前後になっているか、定期的にチェクする必要がある。
ドライボックスは気密性は高いが、完全な密閉状態というわけではない。部屋の湿度が高ければ、ドライボックス内部の湿度も上がりやすい。特に梅雨期にマイクを出し入れするときなどは、湿度管理に気を配る必要がある。
乾燥剤の定期交換が必要
ドライボックス内部の乾燥剤は、定期的に交換する必要がある。そのため、ランニングコストに関してはデシケーター管理よりも高くなってしまう可能性がある。
2. デシケーターでの保管について
2-1. 保管方法
デシケーターでコンデンサーマイクを保管する手順は、以下の通り。
- デシケーターをコンセントに接続し、本体の電源を入れる。
- デシケーターの湿度を調整する。
- コンデンサーマイクをデシケーターに入れる。
あとは何もしなくていい。
2-2. メリット
管理が楽
一度デシケーターを導入したら、後は電源を入れておくだけでOK。乾燥剤を入れ替える必要もないし、湿度管理に気を配る必要もない。管理が圧倒的に楽なのが、デシケーター管理の魅力。
湿度維持の精度が高い
ドライボックスと比べて、正確な湿度管理が可能だ。梅雨期にうっかり湿度が上がってしまうようなこともない。
2-3. デメリット
導入コストが高め
デシケーターは、一番安いものでも1万円近くする。
場所を取る
デシケーターは、一番小さなものでも21リットル程度と、それなりに大きい。部屋が広くない場合は、気軽に導入しづらい。
電気を使う
電気代は1日あたり1円程度と安価だが、コンセントが1口分埋まってしまうのがイマイチ。
かすかに駆動音がすることも
録音すると同じ部屋に置いておく場合、デシケーターの駆動音が気になる可能性もある。もっとも、音が気にならないレベルのデシケーターも多いけど。
3. オススメの保管方法は?⇒ドライボックスを使おう
自宅でマイクを保管するのであれば、ドライボックスを使うのがオススメだ。
化学実験用の試料等と比べれば、コンデンサーマイクは、それほど厳密な湿度管理が求められるわけではない。ドライボックス+乾燥剤+湿度計による保管でも、十分な除湿環境が得られると僕は考えている。
デシケーターと比べて場所を取らず、導入コストが安いのも魅力だ。
3-1. オススメの商品一覧
HAKUBA ドライボックスNEO 5.5L
オススメのドライボックスはコレ。僕も数年ほど愛用しているが、マイクが不調になるようなこともなく、安定的な運用ができている。ラージダイアフラムのマイクなら2~3本、スモールダイアフラムのマイクなら4~5本は収容可能だ。
この5.5リットルというサイズは、多くの宅録ユーザーにとって、必要十分な容量といえるだろう。
シンワ測定 湿度計 T-3 丸型 6.5cm 72668
安価でコスパの高い湿度計。問題なく湿度を測定することができる。湿度計には(一応)耐用年数があるので、こういう安価な製品を定期的に買い替えて行ったほうがコスパは高いと思う。
HAKUBA 強力乾燥剤 キングドライ
ナイロン袋で包まれた、ドライボックス用に設計された乾燥剤。HAKUBAのドライボックスのフタ部分に、ピッタリ収納できるサイズになっている。
シリカゲル乾燥剤「なんでも除湿シリカゲル」
不織布で包まれたシリカゲル。ドライボックスに入れると、すぐに湿度が下がってくれる。湿度を維持するというよりは、高くなった湿度を下げるために使うのがよい。
3-2. ドライボックス内部の湿度を調整するテクニック
「HAKUBA 強力乾燥剤 キングドライ」のようなカメラ用乾燥剤用は、湿度維持を目的としている。そのため、ドライボックス内部の湿度が高くなっても、すぐに下げることは出来ない。
とはいえ、梅雨の時期などは、少し気を抜くとドライボックス内部の湿度が50%以上になってしまう。そんなときは、次のように湿度を下げると良い。
- 「HAKUBA キングドライ」はドライボックスの中に入れたままにしておく。
- 「なんでも除湿シリカゲル」を、ドライボックスに入れる。
- 数十分待つ。目的の湿度まで下がったら、「なんでも除湿シリカゲル」を取り出す。
これでドライボックス内部を乾燥させすぎることなく、湿度を調整することができる。