目次
予備知識
最適なデスクの高さってどのくらい?
ゲーミング家具メーカー「バウヒュッテ」のサイトで、「身長に応じた適切な机の高さ」を計算するツールが提供されている。
日本人の平均身長で調べてみる。PC作業を行う場合の最適なデスクの高さは、次のとおりだ。
身長 | 最適なデスクの高さ |
---|---|
171cm(男性平均) | 67cm |
158cm(女性平均) | 61cm |
PC作業にふさわしいデスクは、思ったよりも低い(一般的な机は70cm程度なので)。
ただし、その人の体型(膝下の長さ・座高・上腕の長さ)によって、もちろん最適なデスクの高さは変わってくる。目安として、以下の富士通のサイトのデータを紹介したい。
パソコンを使うときには、次のような姿勢を取るのがポイントらしい。
- 上腕垂直、肘を90度以上にしてキーボードに自然に手が届く
- 足裏全体が床に接する
たしかに、この姿勢でPC作業をすると非常にやりやすいことがわかる。
最適な鍵盤の高さってどのくらい?
そもそも、本物のピアノってどのくらいの高さなのか?
ヤマハのサイトによれば、
■アップライトピアノ
モデルにより異なりますが、約73~75cmです。■グランドピアノ
約73cmです。
とのこと。
なので、「床―白鍵の上面」までの距離が、だいたい73cm程度になるようにすると良さそう。机にMIDI鍵盤を載せた状態で、この程度の距離になるかどうかを確かめたい。
ここまでのまとめ
ここまでの情報をまとめてみると、
- 最適なデスクの高さ:61~67cm前後
- 最適な鍵盤の高さ:73cm
となることが分かった。
つまり、一般的には「デスクよりも鍵盤が高い位置にくる状態」が理想。
2通りの選択肢:「鍵盤奥」 vs. 「鍵盤手前」
1. 鍵盤を奥に配置する
普通の机を利用してDTMデスクを作れるというのがメリットだ。65cmくらいの机ならニトリとかでも売ってたりするし、耐荷重の部分さえクリアすればOK。低コストに環境を構築することも可能。
鍵盤とPCキーボードの高さについては、
- PCキーボードの高さ:適切
- 鍵盤の高さ:適切~少し高め
となる。
PCキーボードの高さは、もちろんバッチリ(そもそもこっちに合わせてるので)。
鍵盤の高さに関しても、若干高めではあるにせよ、ほぼOKラインな状態だろう。特に76鍵以下のシンセをMIDIキーボードに使っているような人は、鍵盤の高さはバッチリなはず。
惜しむらくは、88鍵のステージピアノ等をMIDI鍵盤として使う場合、鍵盤が少しだけ高めになってしまうことだ。※機種にもよるが。
- デスクの高さ:65cm
- デスク上面~白鍵の上面までの距離:だいたい11cmくらい
と仮定すると、
- 鍵盤の高さ:76cm
となってしまう。これは、一般的なグランドピアノよりも、3cmほど高い状態。もし、「鍵盤は88鍵が良くて、さらに低めで弾きたい」という人がいたら、注意したほうがいいだろう。
鍵盤が高いのが気になる……という人は、
- Studio Logic Numa Compact 2xのような、厚みが薄いステージピアノを使う
- デスクをめちゃくちゃ低くする
- むしろ高い位置に慣れちゃう(目指せグレン・グールド)
といった工夫をする必要があるだろう。
「鍵盤が奥」なプライベートスタジオのリンク
プロの作曲家で「鍵盤が奥」な方々を紹介する。
2. 鍵盤を手前に配置する
体のそばに鍵盤が来るので、鍵盤の演奏がしやすいのがメリット。体と鍵盤の位置関係をベストな状態に保つことができる。
デスクの代わりにキーボードスタンドを使えば、鍵盤の高さを自由に調節したりもできる。
低い位置で鍵盤を演奏したい人は、必然的にこのタイプの配置になるだろう。※その際デスクの高さも相当低くする。
また、多少費用はかかってしまうが、カスタムデスクを注文すれば、鍵盤を引き出しの中に収納したりすることもできる。
- 鍵盤を使うとき:引き出しておく
- 鍵盤を使わないとき:しまっておく
という風にできる。「鍵盤の演奏性能」と「PCキーボードの入力のしやすさ」の両立が可能だ。
鍵盤を手前に配置することのデメリットとしては、
- カスタムデスクを用意しない限り、PCキーボードは、鍵盤の上の空いたスペースに置く必要がある
という点が挙げられるだろう。この場合、体勢的にどうしてもPCキーボードの入力はやりづらくなる。DAWのオペレーション程度ならなんとかなるかもしれないが、長時間キーボードのタイピングをするのはキツい。
※ちなみにサンレコのスタジオ特集とかを読むと、こういう配置にしているクリエイターが意外と多い(特にベテランの人)。
また、カスタムデスクの有無に関わらず、PCキーボードの高さはどうしても高くなってしまう。鍵盤よりも高い位置にPCキーボードを配置することになるからだ。
はじめに「PC作業に最適なデスクの高さは、61~67cm程度」と書いたが、これを目指すのは難しいかもしれない。
※これを目指す場合、鍵盤がとても低くなってしまい、デスクの下に膝を入れるのが難しくなる。
他にも、引き出し式の鍵盤を出し入れする作業は、後々面倒に感じてくる可能性もある。課題点は意外と多そうだ。
「鍵盤が手前」なプライベートスタジオ のリンク
プロの作曲家で「鍵盤が手前」な方々を紹介する。
- 蔦谷好位置 公式ブログ - スピーカーとお菓子
- 田中隼人 | Steinberg
- Tom-H@ck「monologue & KORG Gadget for Mac」インタビュー Powered by CINRA.NET | KORG (Japan)
おすすめ配置:「鍵盤を奥」に配置しよう!
僕のおすすめは、1番目に紹介した「鍵盤が奥」の配置だ。
- 低コストで済む
- PCキーボードの入力がしやすい
- 鍵盤もそこそこ演奏しやすい
といった特徴がある。どの要素もまんべんなく良い感じになってくれる。デメリットもほとんど無いのでおすすめだ。
下記のような事情がない限り、大半の人は「鍵盤が奥」の配置がしっくり来ると思う。
- 鍵盤を低い位置で演奏したい
- カスタムデスク×引き出し式の鍵盤でハイテク感を出したい
- 手書きでスコアを書くから、机は高めがいい
おすすめのデスク
最後に、おすすめのデスクを紹介してみる。
- 高さは65cm前後(前述の「PC操作に最適なデスクの高さ」をふまえる)
- 幅は140~150cm(88鍵がおけるサイズ)
- 耐荷重は50kg以上(余裕を持って88鍵が置けるくらい)
こういった条件で探すことにする。
僕もデスクを何個も買った経験があるわけではないのだが、ひとつアドバイスをすると、88鍵を置くなら、そこそこ剛性の高いデスクを買うのがオススメ。
※1万円くらいの安価なデスクだと、88鍵を置いて演奏すると揺れたりする。
僕のオススメはガラージのデスク。作りがしっかりしている割に、価格がお手頃なのだ。耐荷重も高いし、本体の重量も重め。
ここではガラージで売っているデスクを2点ほど紹介する。
fantoni GX
ガラージが取り扱っている、「fantoni」というイタリアの家具メーカーのデスクだ。細身のデザインとは裏腹に、耐荷重は60kgもある。88鍵のキーボードを載せても使えそうだ。
※耐荷重は商品一覧ページのほうに記載されている。 → デスク・テーブル一覧| Garage(ガラージ)
高さを620mm~820mmの範囲で調整できるというのが嬉しい。デスクの高さを低く設定すれば、DTM作業も快適にこなせそうだ。
fantoni GX
デスクAF・セミオーダー(※サービス休止中)
ガラージの中ではこれが一番オススメできる製品だった(過去形)。
- セミオーダーすることで、高さを最低65cmまで下げられる
- パネル脚のため安定感がある。耐荷重も60kg
- 幅、奥行きも調整可能(セミオーダーなので)
- おまけに値段も安め
といった特徴を持っていて、まさにDTMをする人のためにあるような素晴らしいデスク……だったのだが、非常に残念なことに、現在サービスを一時中止しているようだ。
弊社システムリニューアルに伴い、2018年12月4日(火)より、サイズオーダー製品のご注文が承れなくなります。再開の日程につきましては、改めてご案内させて頂きます
出典:サイズオーダー製品のサービス一時中止のご案内 | 仕事場インテリア・オフィス家具の通販ショップGarageガラージ
販売の再開を待ちたいところだ。
※ただ、「システムリニューアルの都合でサービス中止している」とのことなので、仮に僕が今どうしても必要なら、ダメ元で問い合わせてみると思う。
参考までに、「セミオーダーではないデスクAF」の商品ページを貼っておく。
デスクAF