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アコギを録音するマイクはどれがいいのか?徹底比較&考察

※10万円未満の価格帯で、アコギの録音用マイクを比較してみます。

1. スモールダイアフラム or ラージダイアフラム?

アコースティックギター(以下「アコギ」と呼ぶ)を録音するにあたって、はじめにコンデンサーマイクには2種類あることを知っておきたい。

  • ラージダイアフラムのマイク(ノイマン U87Ai、AKG C414など)
  • スモールダイアフラムのマイク(AKG C451B、ノイマン KM184など)

歌はラージダイアフラムのマイクで録音されることがほとんどだ。一方で、楽器の録音には、スモールダイアフラムのマイクが使われることも多い。まずはこのことを把握しておきたい。



2. 結論:アコギの録音にはスモールダイアフラムのマイクがオススメ!

先に結論を書いておく。アコギの録音には、スモールダイアフラムのマイクを使うのが断然オススメ

例としては、

  • ノイマン KM184
  • AKG C451B
  • RODE M5

あたりのマイクが、アコギの録音には向いている。僕自身そのように感じているし、レコーディング・エンジニアの人からも、アコギの録音に適したマイクとして、KM184やC451といったスモールダイアフラムのマイクが挙がることは多い。

ラージダイアフラムのマイクでアコギを録音すると、どうしてもローミッド(200~500Hzくらい)が膨らんでしまう傾向がある。アンサンブルの中で鳴らすときはもちろん、ソロで鳴らすときでさえ、ローミッドがモコモコしてEQで削りたくなることが多いのだ。

はじめは、マイキングや、部屋の音響特性を疑うこともあった。だけど、サンレコの付属音源などを聴いても、ラージダイアフラムのマイクは総じてローミッドがモコモコしがち(U87Ai等の高価なマイクでも)。プロが録った音源でも同様の傾向が見られるのだから、これはもうマイクの傾向ということになる。

(参考)サウンド&レコーディング・マガジン 2008年 5月号

僕の経験では、マイキングを工夫したところで、これは解消されないことも分かっている。というわけで、アコギ録音には、スモールダイアフラムのマイクを使うのがオススメだ。バランスの良い音で録音することができる。

他にも、ペンシル型の形状をしているので、マイキングを調整する際に、狙いを定めやすいというメリットもある。アコギはマイキング次第で録れる音が大きく変わる。マイキングの自由度の面でも、スモールダイアフラムのマイクはオススメできる。

3. スモールダイアフラムマイクの紹介

ここからはオススメのマイクを紹介していく。アコギの録音に向いているスモールダイアフラムのマイクは、この項で紹介する。

NEUMANN KM184

ノイマンのKM184は、太さ・輪郭・音抜け・帯域バランス、どこを取っても隙がない。AKG C451Bと比べて、太くて柔らかい音で録音できる。ギターの独奏を録音するには持ってこい。 

アコギを録音する上で、最もオススメできるマイクだ。プロスタジオでアコギの録音に使われることも多い。

AKG C451B

音のクオリティではKM184と双璧。にもかかわらず、買い求めやすい価格帯なのが嬉しい。アコギはもちろん、ハイハットの録音等でもよく使われるマイクだ。

アコギを録音したい人であれば、持っておいて損はないマイク。

RODE NT5

実は大穴のオススメマイク。「RODE」「安価」という前情報からは、高品質な録音を得られるとは予想しにくいかもしれない。しかし、ことアコギに関しては、とても良い結果が得られる。アコギを録音したい人にとっては、お値段以上のマイクだといえる。

「KM184を買うほどの予算はない」「かといってAKG C451Bのようなブライトなマイクは好みじゃない」という人にオススメしたいマイク。




4. ラージダイアフラムマイクの紹介

NEUMANN TLM102

ノイマンらしいサウンド。U67等に似た印象があり、歌では非常に良い結果になる。アコギも太い音で録れる。だけど、やはりロー~ローミッドが多くなりがち。ミックス時にEQで削るくらいなら、はじめから適切なマイクで録りたいと感じることも。

アルペジオメインの楽曲など、温かみのある音で録りたい場合には良い。ストロークも、EQ補正前提であれば全然OK。歌とアコギを兼用したい人にとっては、選択肢に入ってくるマイク。

AKG C414 XLII

AKGの代表的なマイク。ラージダイアフラムのマイクで選ぶなら、このC414 XLIIが最もオススメ。AKGらしい高域のキラキラ感がありながら、中低域もきちんと太さを保っている。

もし次に紹介するC214と迷っている人がいる場合、初めからC414 XLIIを選ぶことをオススメしたい。

※昔は10万円以上の価格帯だったが、今ではだいぶ安くなった。


AKG C214

AKG C414に似ているとされるマイク。とはいえ、聴き比べてみると、414とは音の太さがだいぶ違うと感じる。低予算かつ、歌とアコギ兼用で、かつAKGのキャラクターが欲しい場合にはアリ。

5. 参考音源

次の記事では、複数のマイクでアコギを録音するテストを実施している。デモ音源には、今回紹介したマイクも一部含まれる。参考にしてみてほしい。

アコギ用マイクの録音比較テスト:KM184 vs. C451B vs. C214 vs. SM57【音源あり】