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【レビュー】最強のアコギ音源:Prominy Hummingbirdを徹底解剖

Prominy Hummingbirdについて

Prominy Hummingbirdはスティール弦のアコースティックギターの音が出るソフトウェア音源だ。Gibsonの定番アコギ「Hummingbird」を丁寧にサンプリングした、実用的な音源となっている。

アコギ音源は数多くあれど、フレーズの自由度の高さ・音のクオリティ・使い勝手など、総合的に考えれば、Prominy Hummingbirdは、現状でNo.1のアコギ音源だといえる。

公式サイトにはデモ音源が多数アップされている。

公式サイト


製品 | Prominy




Prominy Hummingbirdの良いところ

音がリアル

大容量アコギ音源なだけあって、音はとてもリアルだ。トラック数の多いオケの中で、アコギのストロークを小さく鳴らすなら、「もはや生で録音しなくてもいいのでは?」と思ってしまうほど。

オリジナルのコードフォームを作れる

僕がこの音源で最も素晴らしいと感じたのが、この「リアル・エミュレート・コード」機能。これは単音サンプルを組み合わせて、コードを鳴らす方法だ。この機能のおかげで、コードフォームを自由に生成することができる。

Hummingbirdはすでに膨大な数の実際に演奏された本物のコード・サンプルを収録していますが、さらなるコードおよびコード毎のバリエーションがシングル・ノートのサンプルを使用したエミュレート・コードとして演奏可能です。

出典:製品 | Prominy

たとえば画像のようなF/G系のコードはジャズ・フュージョンやJ-POPでよく登場する。こういったオンコードを鳴らせるギター音源は少ないが、当製品では実現可能だ。

また、エミュレート・コードでも、音が不自然になるようなことはない。使う前は「さぞ打ち込み臭い音になるんだろうなぁ……」と思っていたので、これには驚いた。

基本的な使い方

※中央ド=C3と仮定して解説する。

ストロークの入力方法まとめ

  1. 低音域(E1以下)でコードを押さえる(転回形ではなくルートから順番に)。※コードネームが自動で判別される
  2. ストラムキー(C2&C#2)でストロークする。※C2がダウンストローク、C#2がアップストロークだ。
  3. コードチェンジのタイミングが来たら、再び手順1~2のセットを行う。コレを繰り返す。
  4. 音を止めたいときは、B1を押す。

キースイッチでコードを切り替える方法もあるが、このやり方のほうが、ピアノロールを見てコードネームを把握できるので良い。

入力のポイント

  • auto sustainはONでよい。
  • prefer open/lowも基本ON。OFFだと勝手に高音域のストロークになってしまったりするので。ただしボイシングを指定したいときなどは、CC21を描いて要所でprefer open/lowのオンオフを切り替えるという手もある。
  • グリッドにジャストでMIDIノートを置くと、実際のビートよりも後ろで発音されてしまう。トラックオフセットを-20ms程度に設定し、少し前で発音させてやるとよい。

注意点

コード認識に使える音域は、E1以下だ。例えばG7のコードを認識させるためには、「ソシレファ」と押さえる必要があるが、88鍵の最低音よりも低い部分でMIDIノートを鳴らしてやる必要がある(少し面倒)。

アルペジオの入力方法まとめ

押さえたコードの各弦をアルペジオで弾きたければ、前述のストロークの入力の際に、ストラムキーではなく、「アルペジオキー」(E2~C3の白鍵)を入力すればいい。

一方で、アルペジオのみを演奏する場合は、もっと良いやり方がある。ここではその方法を紹介する。

  1. 「no-legato」等のシングルノート・モードを選ぶ。
  2. poly modeを点灯させる。
  3. auto sustainをオフにする。
  4. サステインペダルを踏みながら、好きなMIDIノートを入力する。

auto sustainを有効にするという方法もあるが、サステインペダルを使ったほうが、音の切れ目をコントロールしやすいと思う。

なお、MIDIノートと実音のオクターブを合わせたければ、CubaseならMIDIモディファイアーで調整すると良い(+24にする)。

ハンマリングを交えたアルペジオの入力方法

Michelle Branch「Everywhere」のイントロや、Eric Clapton「Tears in Heaven」のイントロのように、「ハンマリング込みのアルペジオ」を演奏したい場合。素直に2トラックに分けて打ち込むのが良さそう。

  1. シングルノート・モードの「no-legato」を選び、poly modeを有効にしたトラック ⇒ 通常演奏用
  2. シングルノート・モードの「hamm」を選び、poly modeを無効にしたトラック ⇒ ハンマリング演奏用

という風にトラックを分ける。最後に2トラックをバスでまとめれば完成。



その他覚え書き

シンプルなオンコードでもユーザー登録が必須

前述のF/Gのようなコードはもちろん、シンプルなオンコードであっても、自前で登録してやらないと鳴らせない。

画像のG/Bのような第1転回形のコードはよく使うので、自分で登録しておくといい。

パソコンへの負荷について

僕はこの音源をSSDに入れて使っているが、重さは特に感じない。ロードも数秒。Trilianとかと同じくらいだと思う。Ivoryとかの大容量ピアノ音源が使えている人なら、全く問題なく使えると思われる。

そもそも音源全体で約40GBなので、ラージダイアフラムのマイクだけでおよそ20GBと見積もっても、そこまでサンプルサイズが大きいというわけではない。

※Spitfireの弦とかに比べればずっと軽いと思う。

マイクの種類とダブリングの話

スモールダイアフラムとラージダイアフラム、2種類のマイクが収録には使われている。欲しいサウンドに合わせて選ぶことができる。スモールダイアフラムのマイクに関しては、マイク2本を使ったステレオのサンプルも用意されている。

ダブルトラックに関しては、ディレイ等を使った擬似的なダブリングではなく、別のサンプルが鳴る仕様になっている。

インストゥルメントファイルの内部で「ダブルにするかどうか」を切り替えることはできない。ダブルで鳴らしたいときは、ダブル専用のパッチを選択する。

ピック弾きのみ収録

当製品にはピック弾きの音しか収録されていないので注意。

生演奏と比べたときの感想

結論としては、サウンドのクオリティ面では、生演奏のトラック勝つことは難しいと思う。これは公式デモ音源を聴いたときの感想であり、自分で使ってみた上での感想でもある。

当音源の素材となる楽器は、ヴィンテージのGibson Hummingbirdの実機。非常に高価なアコギをサンプリングしている。

アコースティックギターの音源を作るなら、やっぱりビンテージギターがいいと思い、いろいろ探した中、非常に状態のいい1963年製のHummingbirdを2012年の正月明けに約100万円で入手し、1つ1つ自らサンプリングしていったので3年半もかかってしまいました。

出典:世界が驚愕する究極のアコースティックギター音源、ProminyのHummingbirdを試してみた | 藤本健の “DTMステーション

とはいえ、やはり生アコギを宅録できる環境がある場合、たとえ10万円程度のアコギであっても、実際に録音したほうが断然品質の高いアコギトラックを得られるだろう。

※録音と演奏がしっかりしていることが条件だけど。

これは何も、Prominy Hummingbirdのクオリティが低いということではない。アコギという楽器の生演奏が持つ情報量が、それだけ膨大だということだ。

とはいえ、利便性の面では、アコギを宅録するよりもProminy Hummingbirdを使ったほうが圧倒的に良い(※後述する)。アコギの宅録環境があるからといって、Prominy Hummingbirdを購入しなくていい理由にはならないのだ。僕はアコギを自分で演奏することも多いが、それでも当製品は無くてはならない存在だ。

とりわけ、トラック数が多いJ-POP的なアレンジの場合、当製品なしで編曲を進めることはもはや考えられない。



Prominy Hummingbirdを購入する3つのメリット

ギタリスト的な視点で、Prominy Hummingbirdを購入するメリットについて考えてみたい。

1. デモ段階でアコギを録音する手間から解放される

そもそも、アコギは録音するのが手間だ。

  • マイクを立てなきゃいけない
  • リフレクションフィルターを設置しなきゃいけない
  • モニタースピーカーの音をミュートしなきゃいけない
  • ヘッドホンを装着しなきゃいけない
  • エアコンを消さなきゃいけない
  • 加湿器を止めなきゃいけない

ラインで録音できるエレキギターと比べると、アコギの録音にはこういったハードルが生まれてくる。作業コスト的には結構重い。そんな中、Prominy Hummingbirdがあれば、気軽にアコギの音色を楽曲に取り入れることができる。

2. 作業効率が大きくアップする

実際にアコギを弾ける人の場合、

  1. 打ち込みでアコギのデモトラックを作る
  2. 打ち込みで作ったアコギトラックを、楽曲完成後に生演奏に差し替える

という使い方がメインになって来ると思う。

仮に本チャンでProminy Hummingbirdの音を使わなくとも、アレンジ中に打ち込みで仮のアコギトラックを完成させておいたほうが、最後の本チャン録音は絶対スムーズに進む。こまめにアコギを録音しながらアレンジを進めていくのと比べて、作業に掛かる時間は短くて済む。

曲を作り進める中で、

  • 「BPMをあと2だけ落としたいんだよなぁ」
  • 「アレンジを進めていたら、コードをG7からDm7/Gに変えたくなってしまった」

こういった状況に至るケースはよくある。だけど打ち込みでアコギトラックを構築しておけば、アレンジの修正に伴う録り直しは発生しない。これは作業を効率的に進めていく上で、非常に魅力的なポイントだ。

3. クリエイティブ面で良い影響がある

「アコギの録音は面倒」という理由のせいで、次のような傾向が生まれている人もいるのではないだろうか。

  • アコギを曲に取り入れるのを、無意識のうちに避けてしまう
  • アコギを曲に取り入れるときも、プレイ内容が「シンプルな定型フレーズ」に落ち着いてしまう

こういうのは、クリエイティブ面は良い傾向ではなかったりする。だけど、もしHummingbirdを買えば、録音の手間がかからないので、心理的にも、気軽に楽曲にアコギを取り入れられるようになる。

その結果、

  • 楽曲のサウンドの幅が広がる
  • 「複数のアコギを重ねてアンサンブルを組み立てる」タイプのアレンジに手を出せる
  • リバースやスタッターといったエフェクト処理込みで、アコギアレンジを考えることができる

といったメリットが生まれてくる。

おわりに

改めて分析してみると、Prominy Hummingbirdを使うことのメリットは、思いのほか大きいなと感じた。個人的には値段の1.5倍くらいの価値はあると思う。