Black Fridayセールが近いこの時期。どのプラグインを買うべきか頭を悩ませている作曲家やDTMerの人も多いのでは無いだろうか。
何が欲しいかは、もちろん人それぞれ。そんな中、あえて空気を読まずに「みんなリバーブを買おうよ!」という主旨の記事を書いてみたい。
目次
リバーブに投資すべき理由?
なぜリバーブをオススメしようとしているのか?その理由は、良いリバーブを使えば、自然とミックスのクオリティが上がるからだ。いくら良いEQやコンプを手に入れても、設定がダメだといくらでもダメな音を作れてしまう。
一方でリバーブは、EQやコンプに比べれば、比較的設定の難易度が低い。良い感じのプリセットを選んで、適量を掛けるだけで、音が良い感じになってくれる。
ミックスが苦手な人にとって、良いリバーブの導入はサウンドのクオリティを向上させる上で、圧倒的に投資効率が高いといえる。人生の時間など有限なのだから、優先的にそういう製品に投資していくべきだ。
おすすめのリバーブ4つ
1. LiquidSonics: Illusion
今、最も良いリバーブを作っているメーカーといえば、LiquidSonicsだろう。
LiquidSonicsのリバーブの中で、最も汎用性が高いのがこのIllusion。美しく華やかな響きを得ることが出来る素晴らしいリバーブだ。Illusionはルーム・プレート・ホールといった、巷でよく使われるリバーブタイプを網羅している。
LiquidSonicsのリバーブを何か1つ導入したいなら、Illusionがオススメだ。
Illusionが良い理由?
なぜIllusionのリバーブが良いのかという話について、軽く触れておく。以下の2点を両立できることにIllusionの強みはある。
- コンボリューションリバーブのようにリアルな響きが得られる
- アルゴリズミックリバーブのように自由なパラメーター調整ができる
これらを両立するための技術は「Fusion-IR」と呼ばれており、公式サイトでも紹介がある。
(参考)Convolution Reverbs - Why Fusion-IR technology is difffernt - LiquidSonics
実際、Illusionのリバーブは、非常に瑞々しくクリアで良い音をしている。また、パラメーターをいじると、1~2秒の待機時間が発生する。こうして実際にIRが合成されているのだなぁと、感じさせられる。
2. LiquidSonics: Cinematic Rooms
LiquidSonicsからはもう一つ。Cinematic Roomsも素晴らしいリバーブだ。ナチュラルで親密な雰囲気のルームリバーブを使うならコレで決まり。前述のIllusionよりも負荷が軽いのも嬉しい。
※Plugindoctorで計測すると、Performanceの値はIllusionが13ms前後なのに対して、Cinematic Roomsだと5ms前後。
Roomと名付けられているが、使えるのはルームリバーブだけではない。Ambience・Chambers・ Halls・Rooms・Spacesと各種タイプがそろっており、「部屋の響き系のリバーブ」ならコイツにおまかせだ。弱点はプレートリバーブが使えないことくらいだろう。
StandardとProfessional、2種類のエディションが用意されているが、Standardの方でも十分満足行くリバーブが得られる。
Illusion vs. Cinematic Rooms?
LiquidSonicsのリバーブ、どっちを選べばいいの?という疑問を持つ人もいるだろう。どちらも良いリバーブだが、端的に述べると、次のような違いがあると僕は考える。
- Illusion:華やかで美しいリバーブ
- Cinematic Rooms:ナチュラルで美しいリバーブ
あくまでも個人の感想だが、参考にしてみてほしい。
3. FabFilter: Pro-R 2
2023年と割と最近発売されたのが、FabFilter Pro-R 2だ。最も信頼できるプラグインメーカーの一つであるFabFilterだが、彼らが贈るリバーブも、確かな品質を誇っている。
Pro-R 2の良いところは、デフォルトでは必要最低限のパラメーターしか表示されておらず、音作りで迷わない点だ。使い勝手が良いリバーブを目指して作られていることがうかがえる。リバーブの品質も申し分ないクオリティ。
4. Valhalla DSP: Valhalla Plate
Valhalla Plateは、選択肢がそれほど多くはないプレートリバーブというジャンルの中で、真っ先に候補に挙がってくる製品だといえる。発売は2015年とそこまで新しい製品ではないが、今でも第一線クラスの良い音が出せるリバーブだと僕は感じている。
グラミー賞を受賞した著名なエンジニアも、Valhalla Plateのユーザーだ。
(参考)Mick Guzauski Masterclass on Pop and Funk Mixing [ft. Jamiroquai] - YouTube
なお、Valhalla DSP社はセールを行わない。理由は、
Every day is Black Friday
(出典)Every day is Black Friday here in Valhalla. - Valhalla DSP
とのことで、「毎日がブラックフライデー」を謳っているからだ。ブラックフライデーのセールが無い代わりに、通常価格が安く抑えられているという仕組みだ。
おわりに
リバーブは、有料プラグインと無料プラグインの間で、最もクオリティに差が生まれるエフェクトの一つだ。ミックスのクオリティを上げるために、優先的にお金を使うべき領域だといえるだろう。