Finaleには、「高速ステップ入力」と 「ステップ入力」、主に2種類の入力方法がある。どちらを使っていくべきなのだろうか?
目次
高速ステップ入力 vs. ステップ入力
速さ重視なら高速ステップ入力
高速ステップ入力とは、「MIDIキーボードを押さえながら入力したい音価を数字キーで指定する」ことで、音符を入力していく方式だ。
高速ステップ入力のメリットは、音符の入力がスピーディーなこと。
- ステップ入力のように音価をいちいち変更しなくて済むので、素早い入力が可能
- 和音や連符の入力は、ステップ入力よりも素早くできる
まっさらな五線紙に、ゼロから音符を入力していくような場合は、高速ステップ入力は便利。
既存の楽譜を編集 or 使い勝手の良さならステップ入力
ステップ入力とは、「テンキーで音価を指定してから、入力したい音名をPCのキーボードやMIDIキーボードで入力する」ことで、音符を入力していく方式だ。
ステップ入力のメリットは、次の2点だ。
- MIDIキーボードが無くても音符の入力が可能なこと
- 既存の楽譜データの編集/修正がしやすいこと
これら2点は、大きなメリットだと感じる。
まず、MIDIキーボードが無い環境でも操作方法が変わらないというのは大きい。外出先でノートパソコンでFinaleを使うような場合、MIDIキーボード無しで操作できたほうが断然使い勝手が良いはず。
※一応高速ステップ入力でもMIDIキーボード無しの操作は可能だが、使うメリットが無いので選択肢から外している。
既存の楽譜データの修正がしやすいのもステップ入力の利点だ。高速ステップ入力だと、音の高さを変更するときは、マウスで音符をドラッグしなければならない。しかしステップ入力なら、「Ctrl + クリック」で音符を選択した状態で、PCキーボードで音名を指定すればOK。修正する音符が多い場合は、ステップ入力のほうが速いだろう。※下記QLMの参考動画で比較すると分かりやすい
- 【FinaleQLM】音程の修正(高速ステップ入力)(YouTube)
- 【FinaleQLM】音程の修正(ステップ入力)(YouTube)
結論:「ステップ入力」を優先的に覚えよう
音楽制作における色々な状況を考慮すると、
- 先に「ステップ入力」を覚えるべき
というのが、僕の結論。
今どきの音楽家の多くは曲を作るときにDAWを使うので、譜面よりも先にMIDIデータができ上がることも多い。それなら、そのMIDIデータを整形して、Finaleに取り込んだほうが速く譜面を作れる。MIDIデータから譜面を作るなら、修正がやりやすいステップ入力を使ったほうがいい。だから先にステップ入力から覚えるべき。
もちろん、オーケストラの作曲家など、作曲段階で先に譜面を作る人もいるだろう。そういう人は入力のしやすさを優先して、高速ステップ入力/ステップ入力の好きな方法を選べばいいと思う。
ただ、そういう人だってDAWでデモを用意することも多い。となると、「曲の最終形」が反映されるのは、譜面ではなく、DAW上のMIDIデータになることも多い。それなら、やはりMIDIデータをFinaleに取り込んだときに編集しやすいように、ステップ入力を習得しておく必要はあると思う。
高速ステップ入力のほうが、素早く音符を入力できるというメリットはあるにせよ、ステップ入力だって十分速く入力できる。ならば、汎用性の高さを考えて、ステップ入力を優先して覚えたほうがいい。これが僕の考えだ。
※ちなみに、高速ステップ入力とステップ入力では、同じ操作でも別のショートカットキーが割り当てられていることもある。両刀遣いを目指すとショートカット操作で混乱しそうなので、慣れないうちは片方に絞ったほうがいいと思う。
おわりに
というわけで、今後のFinale関係の記事は、ステップ入力を前提に執筆していく予定だ。※もっとも、音符の入力/修正以外の操作方法に大きな違いが出るわけではない。高速ステップ入力派の人にも役立ててもらえる記事にしていくつもりだ。