目次
比較対象となるケーブル
前回のベース用ケーブル比較記事と同様に、次の3種類のケーブルを使って、今度はギター録音(クリーントーン)を実施する。
- Belden 8412
- Oyaide QAC-222G
- Custom Audio Japan Guitar Cable ※メーカー名は当記事ではCAJとします
ケーブルを変えることで、音にどのような変化が現れるのかを確認してみたい。
音源の詳細
録音条件
「ギター→アンプシミュレーター→オーディオインターフェイス」という流れで、ライン録音をしている。アンプシミュレーターは、全てのテイクで同じ設定にしている。
エフェクト処理について
- ソロの音源:ギターにはコンプのみを掛けている。EQは無し。
- 2mixの音源:ギターにはコンプと、補正用のEQを掛けている(他パートとの帯域被りの解消のため)。
楽曲について
演奏及び、トラック制作・ミックス・マスタリングは、筆者が行っています。
シールドケーブルを比較するという性質上、ギタートラックはケーブルごとに別のテイクとなっていることをご了承ください。
音質比較
Belden 8412
低域やハイミッドの帯域がよく出てくれる。ローミッドのダブつきも小さい。エレキギターらしい出音になってくれる印象だ
アルペジオ
Belden 8412を使って録音したアルペジオを、ソロで鳴らした音源。
Belden 8412を使って録音したアルペジオを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
単音ミュート
Belden 8412を使って録音した単音ミュートを、ソロで鳴らした音源。
Belden 8412を使って録音した単音ミュートを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
カッティング
Belden 8412を使って録音したカッティングを、ソロで鳴らした音源。
Belden 8412を使って録音したカッティングを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
Oyaide QAC-222G
とにかくレンジが広く、ハイファイな出音。だけど、ハイミッドの痛い成分は強くなく、聴きやすい。オーディオ機器のような出音に近づく。ふくよかなローミッドの量感を感じる。
アルペジオ
Oyaide QAC-222Gを使って録音したアルペジオを、ソロで鳴らした音源。
Oyaide QAC-222Gを使って録音したアルペジオを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
単音ミュート
Oyaide QAC-222Gを使って録音した単音ミュートを、ソロで鳴らした音源。
Oyaide QAC-222Gを使って録音した単音ミュートを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
カッティング
Oyaide QAC-222Gを使って録音したカッティングを、ソロで鳴らした音源。
Oyaide QAC-222Gを使って録音したカッティングを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
CAJ Guitar Cable
バランスの良い出音をしている一方で、エレキギターらしい音のキャラクターも合わせ持っている。完成度の高いケーブル。
アルペジオ
CAJ Guitar Cableを使って録音したアルペジオを、ソロで鳴らした音源。
CAJ Guitar Cableを使って録音したアルペジオを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
単音ミュート
CAJ Guitar Cableを使って録音した単音ミュートを、ソロで鳴らした音源。
CAJ Guitar Cableを使って録音した単音ミュートを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
カッティング
CAJ Guitar Cableを使って録音したカッティングを、ソロで鳴らした音源。
CAJ Guitar Cableを使って録音したカッティングを、オケ中で鳴らした2mixの音源。
感想と考察
Belden 8412の評価
個人的な好みの部分が大きいのだが、今回の比較においては、Belden 8412が最も良い音で録音できると感じた。理由は、エレキギターらしい音楽的な出音をしているからだ。
特にアルペジオは8412がダントツで良い音だと感じた。他のシールド2つと比較すると、まるでテープシミュレーターを通しているかのようなアナログ感があると感じた。もちろんテープシミュなど通していないのだが、ケーブルによってもたらされる、録り音の帯域バランスがそのように聴かせてくれているのだろう。
Oyaide QAC-222Gの評価
QAC-222Gは僕の環境では長らくスタメンで活躍してくれていたのだが、今回のテストではそれほど魅力的な結果にはならなかった。無難でバランスの良い音ではあるが、少し出音が冷たく、音の重心的にも腰高に感じる。ケーブルの持っているレンジの広さが、トーンを形成する上で逆効果になっているように感じる。
QAC-222Gを導入したときは、オーバードライブやディストーションのサウンドで楽曲を作ることが多く、そういったサウンドでは良い音が得られていた。音抜けが良く、帯域バランスに優れていて、特にリードプレイでは非常に気持ちの良いトーンが得られていた。
一方で今回のように、ギター本来の鳴りを生かすようなプレイスタイルだと、少し精彩を欠いてしまうかなという印象。この結果には少し驚いた。
CAJ Guitar Cableの評価
CAJも今回のテストでは良い結果が得られた。8412と比べると、帯域の偏りが小さく、フラットな出音をしている。だけど、ただフラットなだけではなく、エレキギターの持つオイシイ帯域を上手くキャプチャーできている印象。
トータルでは8412がベストだけど、カッティングに関してはCAJの方が良いかもしれない。ハイミッドのピーキーな成分が少ないし、ローが多くないので軽快なサウンドになる。
1990年代頃のスタジオミュージシャンの人は、CAJのシールドをよく使っていた印象だが、その世代の名手に評価されるだけのことはあるなと思った。
まとめ
あくまでも個人の演奏をキャプチャーしたときの、これまた個人の感想に過ぎないのだが、各ケーブルの感想をまとめておく。
- Belden 8412:音のキャラがハッキリしていて良い音
- Oyaide QAC-222G:クリーンだと及第点レベル
- CAJ Guitar Cable:音のバランスが良く、特にカッティングに映える
過去にQAC-222Gを導入したときは、「これはCAJの上位互換だ!」などと思っていたのだが、その考えも改めなければ……と思った。ケーブルにはそれぞれの良さがありますよね。