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【レビュー】Sennheiser HD 490 Proはミックス作業でも頼れる!高品質ヘッドホンです

はじめに:ヘッドホンのミックスは難しい?

僕は長いこと、「ヘッドホンでミックスするのは難しい」と考えていた。

これまで使ってきたヘッドホンは、SONY MDR-900STやAKG K701など。どちらも定番機種だ。ただ、「ミキシング用途で全面的に信頼できるか?」というと、個人的にはかなり難しいと感じていた。

900STは、高域の粗探しには非常に向いている。ノイズや耳に痛い成分などを見つけやすい。しかし音がかなり硬く、全体の帯域バランスを自然に判断する用途には向いていない。どうしても低域が不足していると感じてしまう。

K701は、帯域バランス自体は比較的自然で、音場も広い。純粋に音が良いと思う。しかしながら、低域は少し控えめだし、全体的にミックスが「良く聞こえちゃう」ところがある。そのため、ミックスを冷静に評価する用途には向いていないと感じていた。

そのため、僕の中では長らく、「ミックスはやはりモニタースピーカーで行うもの」という認識が根強かった。

MEMO
Andrew Schepsのようにヘッドホン主体でミックスを行う著名なエンジニアがいることも知ってはいたが、彼のようなケースは特例中の特例だと考えていた。

ミキシング向けのヘッドホンが気になり始めた理由

ここ10年くらいで、ミキシングエンジニアが自宅環境で作業するケースも、かなり増えたという話を耳にする。それに伴い、「ミキシング用途のヘッドホン」をレビューするプロのエンジニアさんも増えてきた印象だ。

以前は、ヘッドホンは「録音で使うもの」「ノイズチェックで使うもの」というイメージが強かった。しかし近年では、「本格的なミックスにも使えるヘッドホン」という文脈で語られる製品をよく見かける。

そうした風潮の中で気になっていたのが、今回レビューするSennheiser HD 490 Proである。実際にミックス作業で使っており、既に9曲ほどで活用している。結論としては、もはや僕のミックス作業にとって、なくてはならないツールとなってくれている。

HD 490 Proの良いところ

帯域バランスの良さ・奥行きのある音

HD 490 Proを使ってまず感じたのは、帯域バランスの自然さ。低域から高域まで、かなりフラットなバランスで鳴ってくれる。開放型ヘッドホンらしい奥行きのある音であり、音の全体像を俯瞰的に把握しやすい。

低域がちゃんと聞こえる

HD 490 Proは、開放型ヘッドホンでありながら、低域がかなり聞こえやすいという長所を持っている。

僕の環境には7インチクラスのモニタースピーカーがあるのだが、30Hzよりも低い帯域のチェックは不可能(物理的に音が聞こえない)。しかしHD 490 Proでは、テストの結果25Hzくらいまでは聞こえることが分かった。

そのため、楽曲に必要なローエンド(30~40Hzあたり)を確認する上で、HD 490 Proは心強い味方になってくれる。この帯域は、スピーカーよりHD 490 Proのほうが聞き取りやすい。

モニタースピーカーだとどうしても部屋の定在波の関係で、リスニングポジションがズレると低域の量感が変わってしまうということが起きる。一方でヘッドホンだとそういうことがない。正確に低域の量感を判断する上で、HD 490 Proはモニタースピーカー以上に優れていると感じる。

もちろん、モニタースピーカーのように「体に感じる振動」が得られるわけではないので、ヘッドホンとスピーカーの両方で確認するのがベストではあると思う。

細部の見えやすさ

HD 490 Proは音の解像度が高く、細部をクリティカルに聴くこともできるヘッドホンだ。そのため、EQやコンプの作業がヘッドホン環境で安心して行える。

HD 490 Proでミックスを確認することで、

  • ハイハットの高域が出すぎている
  • ローミッドが膨らんでいる
  • パンニングがベストではないせいで、ステレオイメージが不自然
  • Metric ABでリファレンスと比較したときに、ローエンドが少し不足している

みたいな状況にに気づくことができた。

もっとも900STのように「ハイ上がりの高域特化型粗探しマシン」というピーキーな性能を持つわけではない。あくまでもフラットかつバランスの良い出音を感じつつ、ミックスを冷静に判断することができる。これはモニタースピーカーでミックスをしているときの感覚と一緒だと思う。

個人的に、このHD 490 Proを入手できたことは「信頼できるモニタースピーカーの出音がヘッドホンの環境で手に入った」という感覚に近い。

その他の覚え書き

プロデューシング・パッド vs. ミキシング・パッド

HD 490 Proには、「プロデューシング・パッド」(黒色)と「ミキシング・パッド」(グレーっぽいほう)の2種類のイヤーパッドが付属している。

僕はこのヘッドホンをミキシング用途で使うため、よりフラットな出音が得られるミキシング・パッドのほうを使用している。

プロデューシング・パッドのほうは低域に厚みがあり、音楽鑑賞用途としては気分が盛り上がる印象。

価格について:コスパが高い

価格面で見ても、HD 490 Proはコストパフォーマンスが非常に高い。900STとかと比べれば高価だが、クオリティを考えるとかなり安いと感じる。

というのも、購入に際して10万円~15万円クラスのヘッドホンも試聴したのだが、HD 490 Proと比べると音が全然良くないものもあったからだ。お店にある同じ価格帯のヘッドホン(5~7万円くらい)もひととおり聴いたけど、HD 490 Proは断トツで音が良かった。これは他の追随を許さないレベルだなと感じたほどだ。

※3万円前後のヘッドホン数種と比べるなら、音のクオリティはHD 490 Proのほうがはるかに上だと感じた。

予算を増やせば、(ミキシング用途という観点で)もっと良いヘッドホンが得られる可能性もあると思う。しかし、コスパに関していうとHD 490 Proはもうぶっちぎりでスゴいんじゃないか?と個人的には思っている。

開封の儀




こんな箱に入って届く。







初期状態だとプロデューシング・パッドが装着されている。







HD 490 Proと交換用のミキシング・パッド。







ヘッドホンのケーブル端子はミニXLR仕様だ。



まとめ:HD 490 Proはミックスでも頼れる一品

冒頭に書いたとおり、これまで僕は、「ヘッドホンはあくまで補助的に使うもの」という認識を持っていた。しかしHD 490 Proを導入して以降、ヘッドホンをミキシングのメインツールの一つとして認識するようになった。

もちろん、ミックス作業のメインツールが今でもモニタースピーカーであることに変わりはない。だけど、

  • 全体的な帯域バランスの確認
  • 音のディテール(細部)の確認
  • 定在波の影響を排除した低域の確認

といった用途において、HD 490 Proはかなり信頼性が高く、モニタースピーカー以上に正確な判断を与えてくれると感じている。